脱税、租税回避、節税の定義と具体例
税負担の減少を図る行為には、下記の3類型があるとされています。
脱税行為
課税要件の充足の事実を全部又は一部秘匿する行為
(例)売上除外
(例)架空経費計上
租税回避行為
私法上の選択可能性を利用し、私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、結果的には意図した経済的目的ないし経済的効果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、税負担を減少させあるいは排除する行為
(例)土地を譲渡する代わりに、その上にきわめて長期間の地上権を設定して、土地の使用収益件を移転し、同時に、弁済期を地上権の終了する時期として土地の時価の融資を受ける。さらに、2つの契約は当事者のいずれか一方が希望する限り更新すること、地代と利子は同額としかつ相殺することを予約し、譲渡所得課税を免れる行為。
(例)地主Bが不動産管理会社Aを設立し、B所有の土地および建物の管理をAに委任する。その対価として不動産の賃貸料として得られる収入の合計額の半分をAに支払うという契約を締結し、給与所得控除を活用して所得税の軽減を図る行為。
節税行為
租税法規が予定しているところに従って税負担の減少をはかる行為
(例)所有期間が5年を超えてから資産を譲渡することによって、長期譲渡所得の2分の1課税の制度の適用を受けて所得税の軽減を図る行為。
(例)住宅を取得した場合に、住宅借入金等の特別控除制度を利用し所得税の軽減を図る行為。
脱税行為は違法行為ですが、租税回避行為は節税行為と同様に形式上、合法行為です。ただし、税務署は、租税回避行為は課税の公平負担の見地から問題があると考えています。実際には、租税回避行為と節税の区別は難しい場合が多く、裁判や不服審判所でも争いが多く見られます。
当事務所では、過去の判例や裁決事例を収集し、研究を重ねておりますので、個別事案に関する税務リスクにつきましてはお問い合わせ下さい!