取得時効と消滅時効

取得時効(民法第162条)と消滅時効(民法第167条)

取得時効とは(民法第162条)

20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得することができることを言います。また、占有の開始時に善意無過失であった時は10年間で足りるとされます。

消滅時効とは(民法第167条)

債権については10年間、それ以外の財産権(ただし所有権を除く)については20年間の時効期間が経過すると消滅することを言います。

短期消滅時効(時効が上記年数より短い権利)

1年間

  • 売主の担保責任
  • 遺留分減殺請求権
  • 月単位以下の期間で定めた使用人の給料に関する債権
  • 大工・左官・演芸人等の賃金に関する債権
  • 旅館、料理店、キャバレー、レンタルビデオ、運送等の料金に関する請求権
  • 運送取扱人の責任

2年間

  • 離婚による財産分与請求債権
  • 詐害行為取消権
  • 労働者の賃金(退職手当を除く)・災害補償その他の請求権
  • 弁護士・公証人の職務に関する債権、生産者・卸売または小売商人の売掛債権

3年間

  • 交通事故などの不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 医師・助産師・薬剤師、技師・棟梁・請負人の報酬に関する債権
  • 為替手形の所持人から引受人に対する請求権
  • 約束手形の所持人から振出人に対する請求権

5年間

  • 商事債権
  • 年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料に関する債権
  • 相続回復請求権
  • 労働者の退職手当に関する請求権

時効の中断

例えば、AさんがBさんにお金を貸しており、Bさんが10年間まったく返済せずに時効を主張すれば、BさんはAさんにお金を返さなくてもよくなります。ただし、BさんがAさんに返済猶予の申し入れや分割返済の申し入れを行った場合、その時点で10年間の時効のカウントが振り出しに戻ります。これを、「時効の中断」と言います。つまり、BさんがAさんに対する債務の存在を「承認」したということが、時効の中断事由に当たるということです。この「承認」による時効の中断の場合、時効成立後でも有効だと考えられますので、注意が必要です!

内容証明郵便等をうまく活用しましょう!

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