資産除去債務の設例
資産除去債務とは
有形固定資産の取得や使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものです。当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別な方法で除去するという義務も含まれます。具体的には、アスベスト除去義務や(支社支店等の)賃借契約の原状回復義務などです。
会計処理
資産除去債務の発生時に、資産除去債務の合理的な見積額(割引後)を負債として計上し、同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加えます。資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり費用配分し、さらに、資産除去債務は割引後の金額であるため、利息費用を計上します。
<設例>
耐用年数5年の設備を10,000で購入し、取得日時点で将来のアスベスト除去に要する支出見積額が1,000、割引率3%の場合
取得時の仕訳
有形固定資産 10,863 / 現預金 10,000
/ 資産除去債務 863(=1,000÷(1.03)5)
決算整理仕訳
費用(利息費用) 26 / 資産除去債務 26(=863×3%)
費用(減価償却費) 2,173/ 減価償却累計額 2,173(=(10,000+863)÷5年)
(注)なお、適用初年度の期首における既存資産の帳簿価額に含まれる除去費用と関連する資産除去債務との間に差額が生じますが、この差額は、適用年度の特別損失に計上します。
適用時期
企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」は、平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用となります。
国際会計基準IFRSへの収斂の一環でわが国でも強制適用となった会計基準です。税務申告が主目的の中小企業の決算においては強制適用ではありませんので、ひとまず安心ですが、上場企業レベル(国際レベル)の決算書を作って欲しいという顧問先様は導入されても良いかもしれません。
当事務所では、通常の税理士事務所では対応が難しい新会計基準にも対応可能です!